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2017年04月| 2017年05月 |- ブログトップ

Botanic Gardens @Belfast [Northern Ireland]

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―DAY8― 10月4日

今朝は「英国空」が顔を潜めているらしく、午前から晴れ渡りそうなさわやかさを見せていた。

ゆっくりと起き出し、シャワーを浴び、おもむろにダイニングに降り、手作りのおいしい朝食を頬張り、
インスタントだがタップリミルクを注いだ熱いコーヒーをカラダに染み込ませた。
なんて書くと、なにやら旅先のステキなホテルの朝食シーンを思い描くかもしれませぬが、
「2千円台の安宿ドミトリー」でのことです、これ。

「夕方からアイルランド戦があるよ、一緒に観よう」キッチンのハンガリー人オヤジがそういう。

「いいですね、その時間には戻ることにします」朝食の皿を戻し、礼を言い、そんな風に答えた。

外は気持ち良い日差しが注ぎはじめていて、どうやらソックスは買わないで済みそうだった。
ホステルのそばにある『Ulster Museum(アルスター博物館)』を見学しようと
大学裏手にある宿から広大な『Botanic Gardens(植物園)』を横切っていくことにした。

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昨日は行きと同じように2時間弱の道のりでベルファストの『ヨーロッパ・バス・センター』に戻ってきた。(写真2)

15時過ぎ、ブラブラと見慣れた道を辿り、途中、軽めのランチなどを取りながら、
昨日の朝までいた安宿『ラーガン・バックパッカー』へ出戻りチェックインだ。
「おかえり」と出迎えてくれたスタッフと握手を交わし、
キッチンでインスタント・コーヒーを注ぎ、ミルクを多めに入れ、リビングへ向かった。
ソファでは5人ほどが寛いでいて、彼らの目線の先のTVではラグビー・ワールドカップが放映されていた。

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「お、ジャパンが来たね。ちょうど『日本vsサモア戦』がはじまるよ、ラグビー、好き? 見る?」

「とても好きなんだけど日本ではあまり放送されてないんだ、それでもワールドカップだけは毎回見てるよ。
 ウィルキンソンの大ファンなんだ、今大会はもう出てないけどね。みなはドコから?」

「僕らはオージー、彼女はニュージー。そういえば南アフリカに勝利した試合はすごかったね。
 日本は『スモー』と『ベースボール』が人気と聞いていたから、あの試合は驚いたよ」

おいおい、ラグビー強豪国が顔を揃えているじゃないか。

「日本でもビッグ・ニュースになっているよ、普通のニュースでも放送されるほどの」

「いや、あの試合は世界的なニュースだよ、今大会の一番のオドロキと称賛の試合だ。
 うちのとの試合は残念だったけど日本戦は目が離せないよ」

この試合の前にすでに45-10で日本に勝利し、アドバンテージがあるスコットランドの彼が口を添えた。

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『2015 Rugby World Cup』、第8回を数えるこの大会は「England 2015」ということで隣の島で開催中、
9月18日開幕、10月31日の決勝で幕を閉じる日程だ。
予選はあきらめ、帰ってから決勝トーナメント全試合を見るつもりで渡航してきていた。
http://www.legendsrugby.jp/rugbyworldcup2015/schedule/overview/

「五郎丸」ブームが巻き起こった大会、と記した方が伝わりやすいかもしれませんね。
その後、いわゆる「五郎丸ポーズ」がTV画面や日常生活でも乱発されることになるわけですが、
以前からウィルキンソンの大ファンであったこちらは冷ややかな眼差しで眺めておりました。
まったくもって「ブーム」というのは性質が悪いからね。

それにしても日本チームが異国の人たちの口々にも話題になっていることはちょっとばかり誇らしくもあり。

みなで他愛のないラグビー談義をしながら観戦、日本が26-5でサモアに圧勝し、
続けて行われた試合でスコットランドが南アフリカに16-34で敗れたため、
この3チームが1勝1敗で横並び、これにより日本株はますます高騰、スコットランド人は青ざめていた。

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「『パブ・クロウウェル』参加しない? 夕食を食べた後、みなでPUBに出かけるの」

TVを見ていると女性スタッフにそう声をかけられた。

「なるほど、土曜日だものね、どうしようかな」

一人客が多いホステルやゲストハウスではこういった催しを行っている宿がある。
ソウルでは鍋をつついたり、ティラナではレストランに出向いたり、宿泊客同士で交流ができるイベントだ。
http://delfin.blog.so-net.ne.jp/2011-09-28 @ソウル
http://delfin2.blog.so-net.ne.jp/2015-01-28 @ティラナ

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デリーから戻って来てすぐにラグビー観戦に巻き込まれたのでナニも考えてなかったことと、
一日、デリーの街を歩き回り、ちょっとばかり疲れていたので、他の客と乾杯する気になるかアヤシかった。

「飲まないで夕食だけの合流もアリだよ、それなら3ポンドさ」

考えあぐねているとヒゲのスタッフが明るくそういう。
これから食事に出かけるのもオックウだし、買ってきて食べるのもメンドウだったのでその言葉に飛びついた。

「夕食は19:30から。PUBに行くならそのあと。くわわってくれてうれしいよ」

彼にそういわれ、いわれた金額を渡し、ふたたびTV観戦に戻った。

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3つ目の試合、オーストラリア対イングランドがはじまろうとする頃、キッチンからいい香りが漂ってきた。
夕食は男性の靴のサイズはあろうかというバカデカイ「グリル・チキン」がメインで、
フレッシュなマッシュルームをソテーしたものとフレンチ・フライを大鍋から勝手にとるシステム。
キッチンにはパンやオレンジ・ジュースも好きなだけ食べていいように置かれていた。

みなでTVを囲みながら夕食をパクつくのはちょっとした大家族気分、
600円で腹イッパイになるのもありがたいが、食事時におしゃべり相手がいるのがウレシかった。
旅先のテーブルで「一人メシ」はけっこう侘しいんだよね。
そんなわけで手作りの料理とおしゃべりに夢中になり、写真も撮り忘れている始末でさあ。

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『植物園』に向かう大学裏の通りは車止めのウマが置かれ、封鎖されていた。

工事かなにかかと思い、歩いているとその通りを自転車に乗った家族が走り抜けていく。
『植物園』入口にハデな蛍光色のベストに身を包んだ警備員がいたので尋ねてみた。

「工事ですか? 閉鎖ですか? 『植物園』入れますか?」

「問題ないよ、どうぞ。今日はベルファストは『サイクル・デイ』なんです、
 『シティ・ホール』から『植物園』まで自転車専用に道路を封鎖して楽しめる一日で、
 終着の植物園内では自転車関連のイベントも行われてますよ」

そんな楽しいイベントの日曜日を祝福するかのように、『植物園』には眩い日差しが煌めいていた。


Botanic Gardens

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Peace Bridge @Derry [Northern Ireland]

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ベルファストへのバスに乗る前にもう一度、ステンドグラスを堪能しようと隣の『ギルドホール』を訪ねた。

建物前の広場ではドコカで見たようなナニカに似たような着ぐるみが3~4体、子供たちに風船を配っていた。
遠巻きに見ていた女のコがママに
「あなたももらってきなさい、写真も撮ってあげる」と繰り返し背中を押されている。
しまいには手を引かれ、着ぐるみのほうに誘導されそうになると、
「NO!」と強い口調で声を荒げ、ママの手を振り払った。

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どうやら彼女は着ぐるみが怖いらしく、風船はほしいが近づけず、ボーダーラインを越えられないらしい。
その様子がおかしくて吹き出してしまうと、
わが娘を見て呆れていたママと目が合い、お互い笑ってしまった。
大人の笑いも気にせず、やっぱり彼女は着ぐるみと一定の距離を保っていた。(写真3)

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『ギルドホール』の中は母娘で溢れていた。

なにかの親子イベントが行われているようで、
ステンドグラスが美しいホールは子供たちの遊び場と化していた。
今日は土曜日、ショッピング・モールに人が多くニギヤカだったのもそのせいか。

ステンドグラスは子供たちに譲り、外に出ると裏手の川辺に向かった。

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『River Foyle(フォイル川)』の川べりはキレイに整備され、近代的な美しい遊歩道が伸びていた。
ジョギングしている人やサイクリストが頻繁に行き交い、ベンチにはコーヒー片手に寛ぐ人がいる。

川の向こうは『Ebrington(エブリントン)』の街が広がっているのだが、
こちら側は「旧市街」、向こうは「新開発地区」とカンタンにいい切れない事情がここにはある。

『エブリントン』はプロテスタント派の「ウォーターサイド」、
川沿いの『St. Colomb's Park(聖コロンブズ公園)』は、
かつての「デリー包囲戦」で英国軍の拠点が置かれた場所でもある。
城壁のあるこちら側はカトリック派の「シティサイド」、
その軍の包囲に耐えた抜いた側で『フォイル川』を跨ぎ、さりげなく両派は隔てられているというわけ。

ヨーロッパの街にはこういう見えない境界線や階級、宗教の隔たりがさりげなくあるのですね。

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2011年にこの両派を繋ぐべく『Peace Bridge(ピース・ブリッジ)』が造られた。(写真6)
「街が変わる触媒となる」といわれたこの橋はクルマが通れない「歩行橋」で、
近代的なデザイナブルな橋と添えられた花々が美しい。
そのためか記念写真に熱を入れる旅行者や若者が多く、橋の上ではしゃぐ姿がチラホラ見受けられる。

「ナニ人だい?」

写真を撮り終え、ベンチに腰を下ろしていると年配男性に声をかけられた。

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「ニホンジンです、10日ほどアイルランドを巡ってます」

「日本人なのか、めずらしいね。あまり旅行者が多い街ではないからね。
 どうだい、この街は?」

「静かでとても穏やかでいい街です。
 ダブリンのようにガチャガチャしてなくてとても気に入りました」

「そうか、それはよかった。なにもない街だからね。気に入ってくれてうれしいよ」

「人も穏やかで親切な気がします」

「それはよかった」

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頭の中では『ピース・ブリッジ』を渡って、『エブリントン』の街を散策するアイデアが浮かんでいたが、
すっきりと会話を交わしたせいか、すっかり穏やかな気分になり、
めっきり隣町のことはどうでもよくなっていた。

昼を過ぎ、気温が高くなる時間帯のはずなのだが、「英国空」真っ盛り。
いっこうに陽が差す気配はなく、肌寒い陽気が広がっていた、こうなるとくつ下がほしいぞ。

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旅のスタイルはまだ初秋だったので、足元はいつものように素足で「Top-Sider」の革のデッキ・シューズ。
ソックスなしでOKなのでその分、荷物は少なく済むのだが、雨や寒さにはチト弱い。
幸い雨には降られていなかったが、10月だというのに「英国空」のせいで足元からの冷えに襲われていた。
寒さに耐えられなければ、帰る前に何処かでソックスでも買おうかな。

あるいはベルファスト行きのバスに乗ってしまえば、寒さも関係ないかもしれない。


Peace Bridge

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St. Colomb's Cathedral @Derry [Northern Ireland]

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―DAY7― 10月3日

ここの朝食もホステルにしてはご機嫌な品揃えだった。

長テーブルの上にはトースト用のパンの他にベーグル、シリアルが数種置かれ、ジャムは5種類ほど並び、
バスケットにはフルーツ、冷蔵庫にはヨーグルトとホテルに負けないラインナップが用意されていた。
惜しいことにどういうわけかコーヒーがなくて、ティーバッグの紅茶で「お茶を濁す」しかなかったが、
そこにはタップリのミルクを注ぐことができ、「英国式」を堪能できたのでそれはそれで悪くはなかった。

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オフ・シーズンということもあり、ホステルはガラ空きのようだった。

5つの3段ベッドが置かれた部屋には後からドイツ人男性がチェックインしてきただけ、
その彼も一緒にいた地元っ子らしいガールフレンドと出ていったかと思うと、
そのまま朝までというか、こちらがチェックアウトする時間になっても帰ってくることがなかった。
荷物沖にチェックインしたのかよ、とツッコんでみても誰もいないし、愛の行方は誰にもわからないのだろう。

結局、ドミトリー独り占めの奇妙な滞在、広過ぎるシングル・ルームだぜ、これじゃあ。

朝食のため、キッチンに来ても誰もおらず、ここも貸し切りのご様子。
夕食のパスタを調理した時にはキッチンを使う夫婦がいたり、シャワールームで男性と擦れ違ったり、
どうやら他の部屋には客がいるようだったが、なにしろ宿泊者と顔を合わせないみごとなオフシーズン滞在だ。

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しばらくするとキッチンにアジア系の女のコが一人で入って来て、ミルクやヨーグルトの在り処を尋ねられた。

香港人の彼女はこちらに留学中、そこに香港から母親が訪ねてきて、一緒に小旅行をしているらしい。
「母さんは朝食を摂らないから旅のリズムが合わないのよ」と嘆いているのが可笑しかった。

「こちらの生活はどう?」

「香港と物価が変わらないから意外と暮らしやすいかな」

彼女は10時のバスで次の街へ向かうため、慌ただしく朝食を詰め込んで、旅立っていった。
入れ替わりで二日酔いだか寝不足だか、ゲンナリした顔の若い男の子がやって来た。

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「クラブで朝まで騒いでいたんだ、反動でテンション上がっちゃって寝れなくて」

インド系ニュージーランド人で学生だという彼は表情とは違って明るい口調で申し訳なさそうにそう説明した。

「そういう顔をしているよ。お茶でも飲めば?」

「ありがと、そうする。タバコ吸ってもいいですか?」

「ここが禁煙じゃないなら、かまわないよ」

そういうと丁寧に礼を言い、缶のケースを取り出すとタバコを巻きはじめた。

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「こっちの人って、巻き煙草を自分で作る人、多いよね?」

カフェなどでもよく見かけたので、そんな質問を投げかけてみた。

「こっちじゃタバコ高いんですよ、手巻きだとちょっと安いんです。吸います?」

「ありがと、でも吸わないから、気にしないで」

「あ、僕が寝れないのはジョイント(大麻)のせいじゃないですよ。
 こうやって巻き煙草作っていると『ハッパか』っていわれるけど僕はクラブでもハッパはやらないんで」

「ダイジョウブだよ、疑ってないから」

その後は日本のマンガやアニメのハナシが大いに膨らみ、
紅茶やフルーツを楽しみながら、キッチンでゆったりした午前を過ごした。

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しばらくしてチェックアウト、といってもデイパックひとつの身なので、
事務所のスタッフに「じゃあね」といって声をかけただけで出かけることになった。

ゲール語で「樫の森」を意味する名がついたこの街はアイルランドで唯一、城壁が完全な形で残っている。
その城壁には7つの門があるというのでそこを辿るように小さな城砦都市のなかを歩いた。(写真3)

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南側のビショップ門のそばの大きな『St. Colomb's Cathedral(聖コロンブズ大聖堂)』に戻ってきた。(写真4)
昨日は閉館時間に間に合わず、見学することができなかったので、あらためての訪問で中に進んだ。

ここにも美しいステンドグラスがあり、かつてこのこの街が包囲された経緯などが刻み込まれている。
この街に来てからステンドグラス三昧、ちょっとシアワセな「三昧」、これなら毎日でも歓迎だ。

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城壁内はアパートがあり、商店があり、食堂があり、普通の生活が営まれている。
通りを普通にクルマが走っていくが、城門部分は狭くなっていて、譲り合う形で擦れ違っていく。
大聖堂から2ブロックほど歩いた城砦の東側にはショッピング・モールが2つ3つ肩を並べていて、
馴染みのあるブランド・ショップのロゴがあちらこちらにあふれ、
チェーンのファストフードやカフェは家族連れや学生たちで混んでいて、ニギヤカだ。

石造りの城壁や不便な城門とモールやショップのハデな看板との時間軸の乖離を感じる、というと大げさかな。
普通に暮らしている人や働いている人がいるのは当たり前のことなのだが、
17世紀と21世紀の同居は余所者にとっては不思議な感覚に囚われたような気分になる。
週末のニギヤカな人出がそのギャップを余計に色濃くしているようだった。

そう、今日は土曜日、週末の混雑というわけね、のんきな旅行者に曜日はないからなあ。



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Free Derry Corner @Derry [Northern Ireland]

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煌めくステンドグラスに魅入られ、『ギルドホール』で予想外の長居をしてしまっていた。

といっても急ぐ旅ではなし、消化しなければならない予定があるわけでもなし。
旅、特に一人旅には「しなくてはならないこと」や「行かなければならない場所」なんてものはないのだ、
ただ知らない街を歩いている、そのことだけで旅の意義は充分なはず。

『ギルドホール』でもらった地図を広げ、ホステルを目指し、街の北に向かって歩いた。

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小さな商店やPUB、食堂が連なる通りを歩くと「ランチメニュー」と書かれた黒板が目に留まる。
コーヒー・ショップのテラス席ではビジネスマンが大きめのビア・グラスを傾け、
ビストロ風の小奇麗な店の中ではランチ・プレートを前に女性同士がおしゃべりに花を咲かせている。
ランチには遅い時間だったが、安宿でガッツリ朝食を食べてきたので宿探しの燃料はまだ残っていた。

番地を頼りに歩くが、目的のホステルのカンバンが見当たらない。

いつもの旅の悪いクセでガシガシと無手勝流に歩き過ぎ、お門違いの場所にまで歩みを進めてしまっていた。
思い留まり、ひょっこりあった両替店でレートを確認するついでに住所を告げ、教えを乞うことにした。

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「この宿のことは知らないけどこの番地ならずっと手前だよ。スーパーマーケットのそばじゃないかな?」

「ありがとうございます。チェックインしたら後で両替に来ます、何時までやってますか?」

「ここは街の外れだから15時で閉めちゃうんだ。
 バス・ターミナルのそばに系列店があるから、気を遣わず、そっちの方に行った方が便利だよ」

重ね重ね礼を言い、来た道を折り返した。
歩き出すと止まらない悪癖、今回もがっつり通り過ぎた様子でスーパーはとうの昔に通り過ぎていた。
スマホ片手にGPS頼りに歩けば、こんな風に迷うこともないのだろうが、
それだと地元の人との交流が激減してしまうので痛し痒し、なんてもっともらしい理由をつけて、
未だスマホを持っていないのです、この旅人は。

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さきほど通り過ぎたバカデカイ『TESCO』まで戻ってきた。

その辺りで一軒一軒、番地を探りつつ、カンバンを見落としてないか上部を見上げつつ、彷徨う。
明らかに迷っている風体とわかるのだろう、スーパー帰りの買い物客が時折、声をかけてくれる。
宿の名を知る人はおらず、解決にはいたらなかったが、
通り名と番地はこの辺りで間違っていないようで犯人には近づいているが尻尾を掴めないそんな状況が続いた。

アメリカなら通りの片側が奇数ならもう片方は偶数、下っていけば番地が増え上れば減り、と話は早い。
アイルランドの片田舎ではそう機能的にはいかないらしく、番地の法則に従ってはいるが、
なにせ番地表示、数字が書かれていなくて、なかなか事件解決の糸口を見出せないでいた。

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『TESCO』の前をうろつくアヤシイ人になりかけていたので、店のガードマンに番地を見せて尋ねてみたりしたが、
要領得ないまま、手がかりも得られずだった。
すると通りの向こうで真っ赤な扉を押し開け、女性が出ていった。
急にその扉が気になり、吸い寄せられるように通りを渡り、
その扉を見ると、そこには『Hostel Connect』のネームプレートが貼られていた。

「え~、ここなの? カンバンもなにもないじゃん、ホステルなのに」そう声に出しながら、ブザーを押した。

「扉を開けて入って来て」

インターフォンの向こうからあっさりと声が返ってくると、続いてドアのロックが解除される音がした。
狭い階段を上がると事務所があり、太っちょの若いスタッフがスナック菓子をつまみながら招き入れてくれた。

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「チェックイン、オネガイシマス、これ、リファレンス・ナンバー」

Webでブッキングした予約番号とパスポートを差し出し、名前も告げた。

「支払いはどうします? キャッシュ? カード?」

「あ、カードで」

1泊13,5ポンド(≒2600円)、ドミトリーで共同シャワー、朝食がついていてこの値段。(写真5)
散々迷った時間はなんだったんだ、というぐらいチェックインは手際よく進み、すぐに部屋を案内してくれた、

「今、シーツと枕カバー、持ってくるね。シャワーは掃除中だから今は使えないよ。
 ベッドは空いているから、好きなところを使ってもらってかまわない」

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案内されたドミトリーはめずらしい3段ベッドで木製のベッド・フレームが真新しく、部屋も清潔だった。
他のベッドに荷物はなく、まだ誰もチェックインしてないようで、迷わずコンセントに近い下段を確保。
PCの入ったデイパックをロッカーに押し込み、カメラバッグだけを手にしてすぐに出かけることにした。

まずはこの街へやって来た主題でもある『Free Derry Corner』を目指す、さいわい宿から近いサイドにある。

ベルファストよりも北上してきたこともあるだろうが、空はどんよりしたままで肌寒い。
街角のデジタル気温計は「7℃」と表示している、おいおい、10月初旬だぜ。
街外れの通りは観光客も地元の人も行き交うクルマも少なく、街の外郭というのにノイズがない空間が続いた。
それが寒さを際立たせているのかもしれなかったが、見知らぬ街の静かな空間を歩いているだけで気分がいい。

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10分も歩かないで『フリー・デリー・コーナー』の大きなモニュメントに出会ってしまった。(写真8)

忘れた頃に観光客がやって来てはなにかの競技のように写真を撮り、そそくさと去っていく。
空はあいかわらず寂しそうな色をしていて、「Sunday Bloody Sunday」が奏でられてもおかしくない情景だ。
ボタンを押すと曲が流れる歌碑などが置かれていたらあるいは彼らも長居したかもしれない。

どうやらこの場所は貸し切りになったらしい、しばらく腰を下ろして、寒空に浸っていた。


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Guildhall @Derry [Northern Ireland]

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街歩きを忘れて、しばらく『ギルドホール』のステンドグラスにシビれていた。

雰囲気を盛り上げるかのようにパイプ・オルガンの調べが流れている。
建物の性質としては街の中心にある「市民ホール」のような感じなのだろうが、
ステンドグラスとパイプ・オルガンが特別な空気を作り出していた。

「いつも演奏は行われているのですか?」

演奏を終え、演壇から降りてきたパイプ・オルガン奏者にそう尋ねた。

「いや、今日だけだよ。メインテナンスのために演奏していたんだ」

「それはラッキーでした。歓迎の演奏を受けたみたいで楽しめました」

「あはは、それはよかった。デリーへようこそ。キミは幸運に恵まれているのかもね」

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奏者が去り、奏でられた調べもなくなったので他のホールを巡り、展示室などを眺め歩いた。
ステンドグラスは広間の大きなものだけでなく、扉の上の部分や階段の踊り場にもあり、こちらを楽しませてくれる。

かつて爆弾テロなどで打ち壊されたこの建物は2013年に改修が完了、
ステンドグラスなどは新しいものだろうが、出迎えてもらうには充分の彩りと輝きを見せてくれていた。

宿を確認し、チェックインしたあとで街歩きに向かうつもりだったが、もう少し見とれることにした。

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